FatasyDesire~ファンタジー・ディザイア~
 5歳の少女と7歳の少年は、生まれてからすぐに孤児院に引き取られ、生まれてからずっと一緒に生活してきた。

 ガーネットの子ども達は年齢関係無く皆仲が良いが、その中でもこの二人は更に深い仲である。

 キリエはクレドの後を必ず付いて行くし、クレドはキリエに対して過保護であるから、必然的にそうなったのだ。



 いつ見ても、誰が見ても兄妹に見える、微笑ましい二人だ。




 お互い、二人はずっと一緒にいるんだと思っていた。
 絶対に離れたりはしないと口にはしないが、強く思っていた。

 いや、口にしない程、それが当たり前だと思っていたのだ。
 



 しかし、楽しい時間は長くは続かない。

 いつまでも楽園にはいられない。

 愛しい人は隣から消える。






 ある日のこと。



「―――…え…?」




 ちょうど園長室の前にいたクレドは、部屋から聞こえてきた会話に体を硬直させた。


(今、なんて……)


 クレドはその扉をノックも無しに、勢い良く開いた。



 中にいた大人達は思わぬ来客に目を見開き、扉の前に佇む少年を凝視した。



「あ、あら……クレド君」



「先生、今のどういうこと……?」





 ―――キリエちゃんの引き取り先のことなんだけど


 ―――まさかあのフランツ家がねえ、……安心して任せられるわね




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