FatasyDesire~ファンタジー・ディザイア~

Innocence‐純真‐


「わあ、おいしそう!」


 クロードは目の前に出された料理に目を輝かせた。


「クレドがつくるごはんはおいしんだよ」


 そして何故かキリエが自慢げに胸を張る。



「わたしのおすすめはねー、たまごやきと、たまごスープと、オムライスと、たまごのおかゆと、オクラのたまごとじと、ゆでたまごのサラダだよ」


「たまごばっかりだね」



 向かい合ってもぐもぐと料理を食べる二人は、まるでハムスターのようだ。

 目の前にいる小さな二人に、クレドはペットショップに来た感覚になる。



「クレド君って料理が上手なんだね」



 こちらを向いたクロードはふにゃりと柔らかくはにかんだ。

 その笑顔に、またクレドは違和感を覚える。

 キリエとよく似た笑い方をする。


 しかしこの人好きのする笑顔を、クレドは既に知っている気がした。



 クレドが無意識で料理を頬張るクロードに見入っていると、やたらと突き刺さる視線を感じた。


 言わずもがなキリエからの視線である。



「どうかした?」



 キリエはスプーンを持ったまま、自分をじっと見詰め、もぐもぐと口を動かしている。


 そしてゴクリと口の中のものを飲み込むと、閃いたと言わんばかりにハッと目を見開く。




「クレドだよ! クロード、クレドのちっちゃい頃に似てる!」



「俺?」



「うん!」



 思ってもみなかった言葉に、クレドはこんな気弱そうな子供と似ているのかと不満に思ったが、振り返ってみずとも、確かに自分は泣き虫で気が小さかったと理解していた。



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