鏡の国のソナタ
「素奈多」

今までに聞いたことのないような真面目な声で、クランは素奈多を呼んだ。

素奈多は、なんだか嫌な予感がして、その嫌な予感を振り払うように、わざと元気な声を出した。

「うん? なに? なんか食べたいものでもあるの?」

クランは、かすかに微笑んで、ゆっくりと首を横に振った。

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