鏡の国のソナタ
自分に抱きついて泣きじゃくる少女の頭を優しく撫でて、クランはささやくように言った。

「まさかな~、こんな頼りねーヤツのマンションに、クローンの遺体、転がしとくわけにゃ、いかねーだろ?」

九嵐は立ち上がり、ひとつ息をついた。


「なるほど。医療廃棄物処理のずさんさを、マスコミにつつかれるのがオチだな。……心得た」


素奈多は、ポロポロと涙を流しながらわめいた。

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