鏡の国のソナタ
そのとき。


後ろのクローゼットの中から、妙な音が聞こえてきた。


パリパリ。


薄いプラスチックとか、お煎餅が割れるときの音だ。

不審に思って、素奈多は机を離れ、クローゼットの前に立った。

取っ手に手をかけて、開くのをためらう。

ホラー映画みたいに、ここを開けたら妙なものが出てきたりしたらどうしようと、胸に不安がよぎった。


中から出てくるのは血だらけの死体か、チェーンソーを持った殺人鬼か……。

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