黄金時間が過ぎるまで〜もう一つの番外編
「…はぁ…まぁ…そんな感じです…」

僕はなるべく、自分の話題からそれる事を願いながら、あいまいに答えた。

言うんじゃなかったと、後悔は先程からしている…

「ふ〜ん…その娘かわいい?」

女の人の話になったとたん、部長が目を輝かせた…

そこで、そういう反応をするから『ゆり』だ『バラ』だと言われるんじゃないかな…?

「え…た、たぶん…」

「たぶんて?会った事ないの?」

照明担当の光田さんが、マグカップに入った麦茶を飲みながら聞いてきた。

「正月に一度だけ…でも、ものすごく怖い顔をしていたから、どうなのかちょっと…」

気の強そうな切れ長の目が、睨んでいた事しか思い出せない…

「何だそりゃ?!写真ぐらいあるだろが?持って来なさい今度」

八崎先輩の有無を言わさぬ命令口調と、周りにいた人全員から、見たい見たいと言われ…断れるはずもない…

「楽しみにしてるわ〜♪」

最後に里美さんの笑顔が、ダメ押しをした…う…む…
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