銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
 なんだか、炎の球の数が多くなってる?

 それに、球の大きさもどんどん大きくなってきてる?

「消滅せよ! 風の精霊よ!」

 火の精霊を包む炎は、ますます勢いを増していく。その真っ赤な瞳までが燃え上がりそうだ。

 炎の色が暗い赤から橙色に、そしてもっと黄色味を帯びていく。

 色が薄くなっているってことは、炎の温度が上昇しているんだ。

 怒りに燃え盛る炎の両目は激しく吊り上がり、激情に身を委ねて歯を剥く憤怒の表情は、まるで悪鬼のようだ。

 な、なんなのこいつ!? さっきまでは、あんなに淡々と無表情だったのに!

 形相どころか人格まで変わってない!?

「これが火の精霊なのです。一度燃え上がると、その勢いは全てを焼き尽くすまで誰にも止められない。たとえ本人でも」

「本人でも!? 本人すら止められなかったらどうするのよ!? そんな無責任な!」

「それが炎の恐ろしさなのです。正気を失い燃焼する。焦土と化すまで」

「焦……!?」

「その恐ろしさを自覚しているからこそ、彼らは日頃は必要以上に、己の感情を押さえているのです」

―― ボッ……!

 炎がジンの足元の草を焼き、燃え上がる。

 ジンが火を消し損ねた!

「……くっ!」

 ジンの顔が苦しげに歪み始めた。
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