銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
「ジン、どうしよう!? どうすればいい!?」

「自分で始末が出来ない雨なんか降らすな!! とことん迷惑なヤツだなお前!」

 ジンに目を剥いて怒鳴られて、あたしは縮こまる。

 あたし、さっきまったく同じ事を火の精霊に対して怒ってたっけ。

 うぅ、恥ずかしい。立場が無いわ。

「おい! しっかりしろ火の精霊!」

 ジンが大急ぎで火の精霊の元へ駆け寄り、あたしも慌てて後を追う。

 火の精霊の体はもう、ほぼ完全に消えかかってしまって、溜まった水の上に薄っすらと赤い色素がようやく確認できる程度だ。

 ジンが必死に呼びかけても、なんの反応もない。

 死にかけている火の精霊の姿を間近で見て、さすがにあたしは本気で混乱し始めた。

 あたしの降らせた雨で死にかけている。あたしのせいで死ぬ。

 あたしが彼を殺してしまうんだ。

 嫌だ。そんなのは嫌だ! 殺人者になるなんて絶対に嫌よ!

「精霊の力を使うコツとか、何かないの!?」

「前に言ったろ!? 説明のしようがないんだ!」

「そんな事言わないで、なんでもいいから何か教えて!」

「お前、両手をパンパン鳴らしてたろ!? あれ効果あるんじゃないのか!?」

「無い! 基本的にあれは何の力も無い!」

「意味も無いのにやってたのか!?」

「意味はあるの! 効果がないだけ!」

 ああ、どうしよう! どうすればいいの!?

 神様どうか助け……

 ああぁ! 神様はあっちで気絶してるんだったわ! そういえば!

 神頼みすらできないなんて!

「火の精霊! 死ぬな! 死ぬな!」

 ジンがどんなに強く叫んでも、赤い色素はどんどん消えていく。
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