銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
再会そして決定打
 この隙にノームを探し出さなきゃ!

 バレて騒ぎになる前にノームと合流して、できることならノームだけでも城から逃がしたい!

 人とすれ違うたび、ハンカチで顔を覆って、わざとらしく咳なんかしたりして。

 電波の届きにくい機器みたいに、花瓶をあちこちかざしながら進む。

 花から聞こえるノームの声を頼りに、階段を登ったり降りたり通路を曲がったりしているうちに、少しずつ声がはっきり聞き取れるようになってきた。

 急げ急げ焦ろ―! 急がないと見つかっちゃうわ!

 そうこうしているうちに、まるで見覚えの無い場所に辿り着いた。

 ここ、どこだろう? 通路の両脇にズラッと並ぶ簡素な扉の列はずいぶん殺風景だし、ひと気もまったく無い場所だ。

『しずくさん! 近いです、すごく近づいてます!』

「ノームどこ!?」

『ここです! わたしはここにいます!』

 並んだ扉のひとつひとつに耳を押し付けて、中の様子を窺いながら進んで行く。

 ある扉の前に立ったら、花から聞こえる声と同じ声が扉を挟んで聞こえてきた。

 見つけた! ここだわ!

 でもきっと扉にはカギがかかってるわよね。うぅん、どうやって開けようか。

 考えながらノブを掴んで動かすと、意外にも扉はあっさり開いた。

 ……え? 施錠してない部屋に監禁?

 疑問に思いつつ部屋を覗くと、中には色々な品物が煩雑に押し込められている。

 ここって物置じゃないの? 汚れた布団とか、古ぼけたイスとかが押し込んである。

 だからカギがかかっていないのね。物置に人質幽閉って、どういう感覚なの?

 幽閉って意味が分かってないんじゃないかしら? お陰で助かったから文句は無いけど。
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