銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
―― ザアァッ! ザアァッ!

 アグアさんの手から水流が放たれるたび、番人の体は跳ねるように震えた。

 純粋な愛を知るモネグロスの命の砂が、世界の全ての価値を否定する者の体を貫いていく。

 番人の体からは、血も気体も何も出なかった。

 ただ複数のいびつな穴が、ポカリと体のあちこちに開いている。

 その姿はとても不気味で、どこか滑稽にも見えた。

 我が身を破壊されながらも、どこまでも番人は無表情だった。

 痛覚という感覚すらも否定しているのかもしれない。

 それでも番人はフラリとよろけて、倒れる寸前に踏みとどまる。

 今まで、何をどんなにしても超然としていたのに、ダメージを受けているんだわ。それもかなり。

 番人を……倒せる! 世界を救える!

 これまでの全ての犠牲は報われる! やっぱり無駄でも無意味でもなかった!

 番人が遂にその片膝を地面につけたのを見て、あたしの胸は激しく高揚して、心臓が口から飛び出そうになる。

 あともうちょっと! もうちょっとよ!

 我を忘れて見守るあたしの目が、番人の強い意志に彩られた目を捉えた。

 あれは、あの目は何も諦めてはいない。

 自分の望むものに、今まさに手を伸ばさんとする寸前の者の目だ。勝利を確信している者の目だ。

 まだ……まだ、これからなにかが起きる!?
< 584 / 618 >

この作品をシェア

pagetop