蒼い時
冷蔵庫から、飲みかけのシャンパンを引っ張りだした。


久しぶりの休日の前、唯一の愉しみ…ソファーに座って、ノートPCを開いた。


灯りを消した室内に、PCの液晶画面だけがぽ~っと光る。


私が立ち上げたSNSサイト。


大して爆発的なユーザー数は獲得出来なかったものの、当初の目的は充分に果たしている。


何もかも、匿名の世界。此処では、普通のOLだった。恋愛に悩み、人間関係に悩み、仕事に悩む…普通のOL。


週に何度かのアクセスでは、それ程人の出入りは無かったが、しがらみの無い世界は気が楽だ。


《会えないかな?》《携帯の番号教えてよ》《写真は載せないの?》


やんわりと、そういった誘いを断ると自然と出入りするのは少数になる。


その中に、彼が居た。
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