光源氏の腕の中【仮】
「離して‥離してったら!」

私は何度も暴れたけど、

帝は頑として私を抱きしめたまま。

・・・

「朱音。婚儀はもう明後日だ。

今更取り止める事などできぬ。

いや、止めるつもりなど、毛頭ない。

だが、そなたが源氏の君ではなく、

私の事だけを想ってくれたら、

その時、そなたは抱こう。

それまでは、こうやって抱きしめるだけ。

この桜色の唇に、少し触れるだけにしておく。

だから、私の傍にいてくれ・・・」


・・・

消え入りそうな、

悲痛な叫びにも聞こえる、

帝の声は、

ぽっかり空いた私の心に、

染み入るようだった・・・



そうまでしても、

私を思い、傍に置く帝が、

なんだか少し、可愛そうにも見えた・・・


だって、

彼には正室や、たくさんの側室がいる。

世継ぎの為とは言え、

そんなにたくさんの女性に囲まれてるのに、
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