俺様ホストに愛されて


やっぱり、住む世界が違う。



「店に行くのに、毎日妃芽が働いてる店の前通ってて」



そう、だったんだ。



「初めて妃芽を見た日、閉店後の店ん
中で泣いてた」



ウソッ

そんなところを見られてたの?



それには一度だけ覚えがある。



太一の浮気が初めて発覚した翌日、それまで無理して接客していたあたしは、閉店後の店内で我慢出来なくなって泣いてしまった。



誰にも見られていないと思っていたのに。



「そっから店の前通る度に妃芽の姿探してた。お前いつも一生懸命接客してて、立ち止まって見てる俺に気付かねぇし」



フッと笑ったリュウは、あたしの指を握る手の力を強めた。



「けど、その一生懸命さが俺にはすっげえ眩しくて……気付いたらいつも妃芽の店が閉まるギリギリの時間に部屋を出て、お前を探すようになってたよ」



「重症だろ?」



そう言ってリュウは、ちらりと横目であたしを見てはにかんだ。


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