俺様ホストに愛されて


もうすっかり慣れた細い路地を通って、お店の扉を開ける。



カランカラン



耳に響く音にも、もうすっかり慣れてしまった。



「妃芽ちゃん、いらっしゃい」



いつもの笑顔で出迎えてくれたヒロさんは、あたしの後に続いて入って来た亜希を見てさらに目を細めた。



「友達〜?珍しいね。いらっしゃい」



「どうも」



亜希はぎこちなく笑いながら、ヒロさんに向かって軽く会釈した。



「どこでも適当に座って。団体さんが来たら変わってもらうことになるけど、ソファー席も空いてるし」



珍しく店内には、カウンターに座るお客さんが2人しかいなかった。



後ろ姿しか見えないけど、若いカップルのようだ。



派手な巻き髪の女の子が、甘えるように彼氏の腕に寄り添っている。



あたしとリュウも、他の人から見たらあんな感じなのかな。



「お友達は何飲む?」



ソファーへと座ったあたし達の元に、ヒロさんがおしぼりを持ってやって来ると、亜希に向かってそう訊ねた。


< 166 / 402 >

この作品をシェア

pagetop