俺様ホストに愛されて


なだめるあたしの声を聞き入れず、亜希は地元に帰って来いと言い続けた。



そしてそのまま亜希が泊まることになり、久しぶりにアパートに帰ることに。



帰ることに不安はあったものの、亜希もいるし多分大丈夫なはずだ。



そんな軽い気持ちだったけど



アパート前に帰って来たあたしは、すぐに後悔することになる。



「………っ」



太一



ドクリと鳴る鼓動。



ドアに持たれ掛かるようにしていた太一は、顔を下に向けていてあたし達がいることに気付いている様子はない。



「あたしがガツンと言って来てあげる」



眉間にシワを寄せて、険しい表情を浮かべる亜希。



今にも殴り掛かりそうな勢いに、慌ててその腕を掴んだ。



「いいよっ、今日は違うとこ行こ」



「違うとこって……?まさか、こうやって毎日待ち伏せされてるんじゃないよね?」



それはわからないけど、たまたまこうやって帰って来た時に出くわすということは、太一は毎日ここに来ているのかもしれない。



そう考えると少し怖くなった。



「もう一回、ちゃんと話し合った方がいいんじゃないの?って言っても、話が通じる相手じゃないか」



そうだよ。



それに、今更話すこともない。


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