俺様ホストに愛されて


「大丈夫?」



「え……?」



どうやらフリーズしていたらしいあたしは、市井さんのその言葉にハッとした。



「あ、大丈夫ですっ」



「で、なんで辰巳君と歩いてたワケ〜?」



「それ、はっ」



人違いです!とか、シラを切り通すとか。



誤魔化すのが下手なあたしは、市井さんのその言葉にタジタジ。



付き合ってるなんて言えないし、返事に困るよ。



「知り合いなんでしょ?この際理由は聞かないから、ACQUAに飲みに行こうよ!」



「え……⁉どうしてそうなるんですか?」



「いいじゃ〜ん、一度でいいから行ってみたかったんだよね。敷居が高すぎて今まで行けなかったけど、立野さんが辰巳君と知り合いなら行きやすいしさ!ね?お願い」



まだ知り合いともなんとも肯定していないのに、市井さんはどんどん話を進める。



「あたし辰巳さんとは知り合いってほどじゃないし……ホストクラブとか苦手です」



「大丈夫大丈夫、ただ座って適当に話してお酒飲んでればいいだけだから」



だったら一人で行けばいいのに。



だなんて言えないけどね。

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