俺様ホストに愛されて
少し複雑だけど、これがお店でのリュウなんだ。
現実を突き付けられて、不安じゃないと言ったらウソになる。
だけど、それ以上にリュウのことを知りたい気持ちでいっぱいだった。
「「「いらっしゃいませ」」」
重い革張りの扉を開けた瞬間、飛びっきりの極上スマイルを浮かべたホスト達の顔が次々に飛び込んで来た。
うわっ。
こんなの、テレビの世界のことだと思ってたのに。
自分がいる今の現状が夢に思えて仕方ない。
緊張から、隣にいた市井さんの腕にしがみ付いた。
薄暗い店内は人の顔がやっと見えるくらいで、目を凝らさないとはっきりとはわからない。
だからなのか、バースデーパーティーの時にいたのがあたしだと気付く人はいなかった。
さすがの市井さんも黙りこくり、この状況に驚いている様子。
「ご希望のホストを御伺い致します」
ボーイらしき中年男性が、あたし達に向かって優しく微笑む。
そんなの、全然考えてなかった。
「えーっと……アキラ君お願いします」
えっ⁉
市井さん、リュウ指名じゃないの?
あんなにリュウのこと気にしてたのに。
「あたしは……」
ここでリュウを指名するのもちょっとね。
普段仕事のことを話さないから、ここに勝手に来たことを知ったら怒るかもしれない。
そう考えると、とてもじゃないけどリュウを指名するだなんて出来るはずがなかった。
「誰でもいいです」
気付くとそう言っていた。