俺様ホストに愛されて


唇を離すと、真っ先に飛び込んで来たのは驚いたように目を見開くリュウの顔。



「へへ、不意打ち成功」



そう言って笑うと、今度はリュウの顔がみるみる内に真っ赤に。



その変化をまじまじと見ていたら、両目を手で塞がれてしまった。



「リュウ?」



「見んな」



照れているのか、あたしの目を隠したままギュッと抱き締めて来る。



リュウの心臓の音がうるさい。


あたしのもうるさいけど、同じくらいうるさい。



「俺、今マジ幸せ」



「あたしもだよ」



「どこにも行くなよ……?ずっと俺の側にいて笑ってろ」



「うん」



約束したのにね。



その手を離したのは……あたし。



リュウの手を離したこと



今では、それが正しい選択だったのかさえわからないよ。


< 264 / 402 >

この作品をシェア

pagetop