俺様ホストに愛されて
知り合ったのは俺が高校を卒業する年で、俺が18歳、イッキが28歳の時。
自分で働いて金を稼いでいるイッキが、とてつもなくかっこ良く見えた。
年々反抗的になって荒れて行く俺に
父親は平気で手を上げた。
もちろんやり返しもしたが、あいつにはボディガードが付いていた為結果は惨敗。
気が済むまで罵られ、終いには母親の悪口まで言い出す始末。
家出を試みて女の家を転々としたこともあったが、常に監視の奴が俺に張り付き行動を見張られ力ずくで連れ戻される。
幸せとは言い難いその生活に限界を感じ、高校卒業と同時に家を出ようと決めていた。
それでも父親は、俺を跡取りにしようと必死だった。
敷かれたレールの上を歩くのはまっぴらだ。
金があれば幸せになれると思っていたけど、それも違う。
資産家の息子だとか跡取りだとか
地位なんて糞食らえ。
跡を継ぐ気なんてさらさらなかった。
押し問答が続く中、そこから助け出してくれたのがイッキだった。
元々頭がキレるタイプだったイッキは、巧みな話術で物の見事に父親を言いくるめた。
なにを言ったかは知らないけど、あそこまでしつこかった父親がなにも言って来なくなったのを見て絶対敵に回したくない奴だと思った。
夢も希望もなかった俺は、言われるがままにホストクラブで働き始めた。
出て行く時の最後の皮肉で父親は俺に
なにをやっても中途半端で、長くは続かないだろうと妙に自信満々に言い放った。