俺様ホストに愛されて
いつもはクールに澄ましてる辰巳さん。
キレた時は、ダークな雰囲気を纏って人を寄せ付けないオーラを発していた。
それはもう従業員一同震え上がるほど凄まじいもので思い出しただけでゾッとする。
トントン
「……っ⁉」
誰かに小さく肩を叩かれ、現実に引き戻された。
「れ、蓮夜(れんや)さん⁉」
しーっと人差し指を顔の前に立てて、蓮夜さんは俺に「こっち来い」と小さく呟いた。
「はぁ。お前なぁ」
控え室から少し離れたところで、呆れたようにため息を吐く蓮夜さん。
「ちょっとは空気読めよ。よく入って行こうと思えたな」
いや、入って行こうとしてたんじゃなくて
固まって動けなかっただけっス。
「なんかあったんすかね?」
面倒なので敢えて否定はしなかった。
それよりも、辰巳さんのあのキレっぷりが気になった。