俺様ホストに愛されて
「もしもしタイ君?うん、みゆだよ。寝てた?今ね友達とカラオケ〜。浮気してないよね?」
トイレへ行こうとした時、店の隅の方で女の子が誰かと電話する声が聞こえて来た。
薄暗い店内に、通話画面の明かりがやけに目立つ。
おいおい、カラオケって‼
ここ、ホストクラブだろ。
彼氏にウソついて通ってんのかよ。
不意に甘ったるい香水の匂いが鼻先をかすめた。
う、酔いが回った状態でこの匂いはキツいな。
でもこの声、どっかで聞いたことがあるような……。
顔が見えないからよくわからない。
「……うん。ねぇ、タイ君はまだ妃芽さんのことが忘れられない?」
ん……?
ヒメさん⁉
まさかとは思いつつも、聞き覚えのある名前に自然と足が止まる。