俺様ホストに愛されて
「それにね〜」
コツコツとヒールを鳴らしながら、俺の隣に並んだ女は耳元で小さくそう呟いた。
「あんた、自分の立場ってものを少しはわきまえた方がいいよ?仮にもみゆは客なのよ?ホストが客にそんな態度取っていいと思ってんの⁉VIPルーム使ってやってるのにさ〜、少しは感謝の言葉とか口にしろよ」
俺の目を見てにっこり笑う姿は、言葉とは裏腹で少しばかり恐怖を感じる。
マジでなんなんだ?
こいつ……。
よく見たらまだガキじゃねぇか。
俺が立つ階段の下に回り込んだ女は、まじまじ顔を覗き込んで来た。
「あんた、よく見たら結構カッコ良いじゃん。指名変えしてあげてもいいよ〜?あのホストにも飽き飽きしてたとこだしね」
「ふざけんな。誰がてめえなんか」
この店では、ホスト同士のいざこざを避ける為に指名変えは禁止されている。
それを分かってて言っているんだろう。