俺様ホストに愛されて
「行くよ」
なんとか立ち上がったあたしは、そう言ってみゆちゃんの腕を掴んだ。
「……は⁉」
キョトンとするみゆちゃんの腕を引っ張って立たせる。
胸の中には怒りがメラメラと燃え上がっていた。
「いいから、付いて来て」
そう言って扉を押し開けると、さっき蓮夜さんと歩いて来た長い通路を逆走。
フロアが近付いて来ると、騒がしい声が耳に届き始めた。
歩き進めると、次第に薄暗い店内が顔を覗かせる。
華やかな夢の世界が、そこには広がっていた。
「ちょっと‼いい加減にしてよっ」
みゆちゃんがいくらそう叫んでも、あたしは聞く耳を持たずに突き進んだ。
フロアにはたくさんのお客さんとホストがいて、あたしがみゆちゃんの手を引いて歩く姿はなぜかものすごい注目を浴びた。
その中にリュウがいないとわかって、なぜかホッとしているあたし。
「妃芽さん……っ⁉」
お店の真ん中まで来たところで、すれ違い様に誰かに声をかけられた。