俺様ホストに愛されて


遠退いて行く2人の声に、ふと後ろを振り返った。



太一の部屋がある方へと向かって、2人の背中は人混みに紛れて消えて行く。



仲良く腕なんて組んだりして、付き合いたての初々しいカップルのようにしか見えない。



“みゆとイチャイチャしたい”



そんな太一の声が脳裏に焼き付いて離れなかった。



この時初めて太一との別れを実感した気がした。



今までのあたしは、ただ別れたつもりでいただけだったってこと。



別れたいと心からは思ってなくて、まだ太一が好きでいてくれてるんだと、電話がある度に安心してた。



別れを切り出したのはあたしだし、太一があの子と付き合ってたって関係ないはずなのに。



それでも最低だと思ってしまうあたしは、本当に矛盾していて嫌になる。



その子と付き合ってるなら、あたしに電話なんてして来ないでよ。



胸が痛くて次第に視界がぼやけた。


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