俺様ホストに愛されて


柔らかいリュウの唇はびっくりするくらい冷たくて、冷静さを取り戻そうとさせるようだった。



遠慮がちなリュウの唇だったけど、何回も繰り返す内に応えてくれるようになった。



腫れ物に触るみたいに、優しくあたしの腰に手を回すリュウ。



そして背中にスーッと指を這わされ、思わず体がビクンと反応した。



その手付きは、太一にそっくりで



固く固く目を閉じた。



何かを振り払うように、固く。



全てを忘れようとするかのように。






「目ぇ開けろ」



耳元で聞こえたリュウの声。



思い詰めたようなその声に、あたしは固く閉ざしていた目を恐る恐る開けた。



リュウは無表情で、なにを考えているのか全くもってわからない。



ただ、少し茶色がかったその瞳が小さく揺れていた。

< 83 / 402 >

この作品をシェア

pagetop