俺様ホストに愛されて


「悪い、店抜け出して来たから……そろそろ戻らねぇとやべぇんだ」



え?



腕時計にちらっと目をやってから、リュウはあたしの顔を申し訳なさそうに覗き込んだ。



お店、あったんだ。

なにも言わないから

てっきり休みなのかと思ってた。

考えてみたら

そんなはずないよね。

スーツ姿だし。



「一緒に出るか?つっても、もう電車ねぇけど……泊まってくか?」



立ち上がってスーツをピシッと整える姿は、いかにもホストって感じでちょっとかっこ良い。



背が高くてスタイルも良いし、スーツが良く似合う大人の男性だ。



そんな人にあたしはなんてことを。



冷静になって考えてみたら、本当に正気じゃなかったんだなと実感した。


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