俺様ホストに愛されて
わわ、やばっ。
「……んっ」
上から顔を覗き込んでいたあたしは、反射的にその場から飛び退いた。
びっくりしすぎて心臓がバクバクいってる。
見てたこと、バレてないよね?
「何時……?」
ベッドの隅にうずくまったリュウが、眠たそうに目を擦りながらそう訊く。
と、時計……
キョロキョロしながら探してみたけど、どこにも見当たらない。
ギシッ
スプリングが軋む音が聞こえたと同時に手首を掴まれ、その胸の方に勢い良く引き寄せられた。
「ちょ、ちょっと……寝ぼけてんの?」
ななな、なに?
ぎゅうぎゅう抱き付いて来ようとするリュウの胸を、力いっぱい押し返す。
「んー、妃芽がさっき俺のこと見てたから嬉しくなって」
「……っ」
なんなんでしょう、この男は。
甘えるように言うリュウがやけに可愛く見えた。
さすがホストだ。
色んな顔をお持ちのようで。