俺様ホストに愛されて


わわ、やばっ。



「……んっ」



上から顔を覗き込んでいたあたしは、反射的にその場から飛び退いた。



びっくりしすぎて心臓がバクバクいってる。



見てたこと、バレてないよね?



「何時……?」



ベッドの隅にうずくまったリュウが、眠たそうに目を擦りながらそう訊く。



と、時計……



キョロキョロしながら探してみたけど、どこにも見当たらない。



ギシッ



スプリングが軋む音が聞こえたと同時に手首を掴まれ、その胸の方に勢い良く引き寄せられた。



「ちょ、ちょっと……寝ぼけてんの?」



ななな、なに?



ぎゅうぎゅう抱き付いて来ようとするリュウの胸を、力いっぱい押し返す。



「んー、妃芽がさっき俺のこと見てたから嬉しくなって」



「……っ」



なんなんでしょう、この男は。



甘えるように言うリュウがやけに可愛く見えた。



さすがホストだ。



色んな顔をお持ちのようで。

< 96 / 402 >

この作品をシェア

pagetop