世界を濡らす、やまない雨
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沈んだ気持ちで、駅からマンションまでの道のりを歩く。
あと数メートルでマンションのエントランスに辿りつくというとき、額にぽつりと小さな滴が落ちてきた。
見上げると、空にはうっすらと灰色の雲がかかっている。
二つ目の小さな滴は、空を見上げた私の鼻の頭にぽつりと落ちた。
すっと首筋を風が吹き抜け、それと共に湿気を孕んだ空気の匂いがする。
私は鞄を肩にかけなおすと、マンションのエントランスまで小走りで駆けた。
屋根があるところまで避難して、もう一度空を見上げる。
空を覆う灰色の雲の間からは少し晴れ間も見えていて、このまま雨が降り出すのか振り出さないのか微妙な空模様だ。
私は小さく息をつき呼吸を落ち着かせると、マンションのエレベーターに乗った。