世界を濡らす、やまない雨




遅くなる。


怜は、私に短いメールをひとつ寄越したきり、いつまでたっても帰ってこなかった。


食卓に用意した一人分の冷めた夕飯を見つめながら、スマホを握り締める。


夜が更けるにつれて激しくなっていた雷はようやく治まり、代わりに降りだした強い雨が窓を打ち付けていた。


部屋の中に、雨の匂いと湿気が立ち込めていく。


ふと時計を見ると、時刻はもう深夜二時を回っていた。


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