世界を濡らす、やまない雨


中学時代に比べると、高校生活は至って平穏だった。


それなりに合わせていれば付き合っていける。

そんな友達が何人もできた。

唇の端に絶えず笑みを浮かべて一日をやり過ごす。

そうしていれば、誰も私を避けたりしなかった。

嫌われないように、一人にならないように。

いつも気を遣って顔に作りものの笑みを貼り付ける。


そうしているうちに、季節が巡る。

平穏な一日は嫌になるほど長いのに、一年は驚くほど短かった。

< 86 / 237 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop