世界を濡らす、やまない雨


「道木さん、帰りは電車?よかったら駅まで一緒に帰ろうよ」

耳を赤くして俯く私に、角谷が言った。

驚いて顔を上げると、彼は私を見て優しく微笑んでいた。


駅までの道のり、角谷は私に現在何をしているか話してくれた。

彼は現在M商事で営業として務めていて、会社のビルが私たちの会社から十分ほど歩いたところにあるらしい。


「もしかすると気付かない間にすれ違っていたかもね」


私が彼の会社の近くにある店でランチを食べたことがあると話すと、彼はそう言って笑った。


駅につき改札を抜けたところで、私達は別れることになった。

角谷は、私の乗る電車とは反対方向に帰るらしい。


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