星屑チョコレート【短】

「俺、好きな人からしか受け取らないって決めてるんで」


柔らかさの中に覗かせた真剣な眼差しが、普段の橋本君からは想像出来ないような“男”を漂わせる。


何を言えばいいのかわからなくなって視線を逸らすと、視界の端で彼がクスリと笑った。


「だから、期待してますよ？」


耳元を撫でた低い声音に紡がれた言葉が、何を孕んでいるのか。


橋本君の気持ちを知らなかった訳じゃないけど、ほんの一瞬だけ見せられた本気の表情(ｶｵ)に戸惑ってしまう。


人懐っこい犬みたいな彼が、突然見せた男の顔。


あたしの心を捉えるかのような橋本君の態度に、胸の奥がチリチリと灼(ﾔ)けるように熱くなった――…。