隣のぼーいふれんどサマ。




俊哉の声が聞こえ、瞼を開ける。


「カズ!!!・・・俺だよ。わかるか?」


「・・・俊哉。」


あたしが名前を呼ぶと、俊哉はホッとした表情をした。


俊哉の隣には、白衣を着た先生と、看護師さん。


「和紗さん、ここがどこだかわかりますか?」


優しそうな先生があたしに訊く。


「病院です。」


「声を出して辛くないですか?背中以外に痛みはありますか?視界がぼやけてませんか?」


「はい。大丈夫です。」


不思議だな。


さっきまで、声を出すのも痛かったはずなのに。


さっき・・・あれは夢?


いつものあの夢を見て、覚めて俊哉と話して・・・


それも夢だったの?


あたしは夢を見て、その夢が覚める夢を見たんだ。


何かややこしいな。


・・・っていうか、あたし生きてる?!


「先生・・・。あたし、生きてるんですか・・・?」


恐る恐る訊くと、先生は苦笑したあとに微笑んだ。


「はい。あの後手術をして、それから1週間眠っていましたけどね。ちゃんと生きてますよ。」


・・・生きてる。


それだけで嬉しい。


初めてかもしれない。


生きていることで、喜びを感じたのは。

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