隣のぼーいふれんどサマ。



とにかく早く退院して、この謎を徹底的に調べよう。


きっと、あたしにはまだ思い出せない記憶があるはず。


きっと、もっと大切なことを忘れてる。




意識が正常に戻ったとき、病室には泣いているあたしとそのあたしをずっと抱きしめてくれていた俊哉しかいなかった。


あたしの呼吸が整うと、俊哉が、あたしに軽くキスした。


「カズ。大丈夫だよ。安心しろ、俺がここにいるから。」


俊哉の腕の力が強まった。


「うん・・・。」




“大丈夫”


思い返せば、その言葉をあたしはいつも、欲しがった。


“大丈夫”とさえ言ってくれれば、本当に大丈夫な気がしていたから。


それをいつも言ってくれていたのは・・・俊哉じゃない。


俊哉じゃない誰かが、あたしに“大丈夫”って言ってくれていた。


その誰かを、あの夢の人達が誰なのかを思い出す。


それがあたしの幸せへの道。


俊哉と一緒になる前に、しなくてはいけないこと。


あたしに課せられた、記憶の謎の解明。


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