隣のぼーいふれんどサマ。




手を伸ばし続ける。


何かを求めて、必死に。


そしてついに何かを掴んだ。


誰かの腕だ。


やっぱり隣にいてくれたんだ。


苦しい。


熱があたしの思考回路を壊していく。


涙が溜まって、視界がぼやけている。


「カズ。」


だれかがあたしの名前を呼ぶ。


おかしいな・・・。俊哉なの?


違う。でも、あたし、この人を知ってるの。


「・・・ゃ・・・」


“彼”の名前を呼ぶ。


“彼”はあたしの汗を拭き、優しく頭を撫でた。


・・・俊哉じゃないんでしょ?


俊哉よりも、もっと、もっと、優しい手。


でも、どことなく俊哉に近い、温かい手。


「・・・どうした?」


“彼”が小さな声を、耳元で囁かせた。


幻覚なのかな。


だって。




・・・“彼”はいないはずなのに。

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