初恋シグナル~再会は恋の合図~
辻村くんに。
強く、憧れていた。
いつも楽しそうに毎日を送る彼。
初めて声をかけてもらった時は、心臓が飛び出るかと思うくらいびっくりして。
『ここの問題、分かる?』
私立中学の問題集を開いてそう訊いてきたのを、今でもはっきり覚えてる。
普通に家の近くの公立中学に行った私とは違い、名門私立中学を受験し、そしてみごと合格した辻村くんとは、小学校卒業以来一度も会っていなかった。
……よく考えたら、辻村くんの行った学校って中高一貫校だったよね…?
英語の授業も流し聞き。
シャーペンの頭を顎に当て、問題を考えているふりをしながら私の脳内はなつかしい小学校のころの記憶に溢れていた。