初恋シグナル~再会は恋の合図~


まるで、世界から隔離されたみたいに時が止まった気さえした。


身体が硬直してしまったように動かなくて。


視線を逸らすこともできない。



────きっと、時間にしたらほんの数秒。



だけど、ふいに響いたチャイムの音でお互いに我に返るまで、すごく長い間見つめ合っていたような感覚がした。



「……湿布、このへんだっけ?」


サッと顔を背けて立ち上がった辻村くんが棚を漁っている間も、私は痛む足だけじゃなく、全身が熱を持っているような心地がした。



……ドキドキ、した。



やがて湿布を手に戻ってきた辻村くんが私の足首に触れて、びっくりしたのとくすぐったさに、思わずびくりと身体が震えた。



「……動くなよ」


「ご、ごめん……」



湿布独特の匂いが鼻をつく。


< 143 / 424 >

この作品をシェア

pagetop