初恋シグナル~再会は恋の合図~
「今日はよろしくお願いします」
にこやかに一紀先輩に手を差し出してきたのは、全体的に色素が薄く、どこか日本人離れしたような顔立ちの男子。
ここで挨拶をしてくるということは、おそらくキャプテンなのだろう。
「……よろしく。キャプテンの坂上だ」
差し出された手を軽く握り、少しだけ戸惑いながらも一紀先輩は挨拶を返した。
……この様子だと、一紀先輩も今日の相手が藤桜だなんて知らされていなかったようだ。
「もちろん、坂上さんのことは知ってますよ。優秀なセンターバックですから。僕はキャプテンの佐竹(さたけ)です。
今日はいい試合にしましょう」
そう言って、にっこりと笑う、藤桜のキャプテンを。
……辻村くんは、まるで痛みをこらえるように眉根を寄せて、見ていた。
「辻村くん、大丈夫、なの?」
こっそり美涼先輩が私に訊いてきたけれど、私には何も答えられなかった。
もう、3か月近くも一緒にいるのに。
辻村くんがどうして藤桜をやめたのか。
私はまだ、知ることさえ許されていないのだから。
「……辻村くん」
ぽつりと、思わず零れた名前は。
自分でも驚くほどに、泣きそうに聞こえた。