初恋シグナル~再会は恋の合図~
「今の言葉です!!
辻村くんは逃げ出してなんかない。
確かに、私たちはあなたたちのチームに比べたら弱いかもしれない。
でも。勝てないからって惨めだなんて思わない!
そんな侮辱、軽々しく口にしないで」
私の声は、自分でも情けなくなるくらい涙声だった。
佐竹くんは私の言葉に一瞬唖然としたようだったけど、すぐに笑顔に戻る。
「……そんなこと言っても、結局君たちは1点も取れずに終わるんだ。
知ってる?……サッカーは結果がすべてなんだよ」
馬鹿にしたようにそう言い捨てて、佐竹くんはくるりと踵を返した。
私たちは、その後ろ姿を見送るしかできなくて。
「……辻村くん!!!」
ぎゅっとユニフォームを掴んで呼ぶと、呆れたような笑い声が降ってきた。
「わかったよ。
意地でも1点入れろって、そう言いたいんだろ」
「なんでそんな平然としてるの!?
あんなにひどいこと言われて…!!
もっと怒っていいんだよ!?辻村くんが頑張ってることも、すごく上手いことも、私たち皆知ってるんだから」
憤慨すると、再び苦笑された。