初恋シグナル~再会は恋の合図~
「いや。
……なんか、長谷川の勢いに全部持ってかれたわ」
「なにそれー!!」
まるで私がひたすら暴れてたみたいじゃん!と不満に声を上げると、再び笑われる。
そして、辻村くんはやがてキュッと表情を引き締めた。
まっすぐに、視線はチームメイトに向けて。
「……あいつの言ってたことは本当です。
俺は高校に上がってから一度もレギュラーになれなかった。
だけど、藤桜をやめたのは逃げ出したわけじゃない。あそこじゃ俺は自分のサッカーができないと思ったんだ。
それに、あいつらに勝ちたいと思った。
見返してやりたいと。
……だけど、ひとりじゃどうしようもないって、痛感した。
だから、力を貸して欲しい、です」
そう言って。
辻村くんは、深く頭を下げた。
「つ、辻村くん…!?」