初恋シグナル~再会は恋の合図~


……そうだよ、先輩。


ここには。


私のいる、ベンチには。


ピッチに立ちたくても立てない選手がいるんだから。



全力を出すことが、試合に出られる者の責任、だ。



「先輩!」


一足早くピッチに入りポジションに向かっていた松田先輩の背中に、辻村くんが声を掛ける。




「……1点、返しましょう」



振り向いた松田先輩は、そう言った辻村くんに一瞬唖然とした表情を浮かべて、しかしやがて、ふっと笑った。



「……自惚れんなよ、新入り!

俺たちはお前の力なんかなくたってもっといい試合できるんだ」



松田先輩の言葉に、辻村くんは笑った。


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