視線の先の×××

ほとんど人はいなくて。
館内に響くのは、窓を叩く雨粒音だけ。

「雨がやむまで、DVDでも見てるか?」

指差した先には、貸出無料のDVD棚。

「うん。」
「じゃあ、そこのテレビで待ってろ。」

言われるまま、テレビ前のイスに腰掛けた。

図書館て来ないけど。
本ばかりじゃないんだ。

ボーっと頬杖をつきながら座っていた。

「彼氏とデート?」

急に背後からかけられた声。

「先輩!?」

驚いて振り向くと、スーツ姿の会社の先輩が微笑みながら立っていた。
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