恋をしたのは澤村さん

あの頃の僕らを



2ヶ月なんてあっという間で。
皆で送別会と称したカラオケ大会をしたり二人で海なんかに出掛けたりして。

あたしは学校をサボって島津木くんの見送りに来ていた。

「葵、本当クラゲ好きだったね」

海で見つけたクラゲにはしゃいだあたしを思い出してか島津木くんが口を押さえて笑う。

「……可愛いでしょ」

透明になってしまうクラゲは可愛い。
不器用で恥ずかしがり屋みたいで。
島津木くんがくれたクラゲのストラップを揺れた。

見送りに来ているのはあたし一人でそれに少し寂しさを感じる。

「見送り皆に言わなくてよかったの?」

「良い。葵だけいれば良いよ」

恥ずかしい台詞を言ってのける島津木くんに顔を赤くした。

いまだに慣れないな。
こうやってサラって言ってのける島津木くんの発言。

< 105 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop