恋をしたのは澤村さん

彼と彼



水族館に行った日どうやって帰ったか覚えていなかった。

「あ~…あたしなんかやらかした気がする」

昼前まで寝ていたおかげでガンガンと響く頭を押さえながら下まで降りると来客が来ていたみたいだった。

「おかあさーん。
誰が来てるの?」

「……葵、お前さすがにその格好はないぞ」

「なんだ岩ちゃんか」

「なんだとはなんだ」

むにっとほっぺたを引っ張られ痛みで岩ちゃんの腕を叩いた。

「いひゃいいひゃい…!」

「義姉さんならいないぞ」

「じゃあなんで上がってんの。不法侵入!?」

「お前本当いい性格してんな」

もう一度ほっぺたをむにっと引っ張られさっきよりいたかった。

「………意地悪…」



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