蓮華〜流レルママニ〜


『私…もしかしたら…入んないかもしれないですよ?』

少し怯えた様子の女の子。

『…その時は、無理にでも中に突っ込むよ』

男の子の表情は、こちらからは背を向けている為、伺い知れない。

『え〜怖いですぅ』

今にも泣きそうな凄く分かりやすい反応。


「…流奈ちゃんゴメン。私、恥ずかしくてもう聞けない…」

その顔は茹でダコのように、耳まで真っ赤だ。

いや…
誰も盗み聞きを推奨してないってば…
と、思いながらも私は続行…


『…じゃあ、今度の日曜日で…いいですか?』

『オッケィ!気合い入れて行くよ!』


不意に、視界に微かな動きが目に止まる。


ん?
カップルの座る席から、二つ離れた席に、私たちより露骨に怪しい女の子2人組が…!?

…一人はかなり長い 黒髪で、もう一人は短いポニーテール。

何やら、コソコソしている雰囲気…

うわぁ…
双眼鏡って…
あなた達は探偵ですか?


『大丈夫だって!この辺で一番怖いお化け屋敷って言っても大した事ないから!』


『うん…』

『入ってすぐに、ぶつかってきたり、物が落ちてきたりするけど、当たらない人もいるしさ』

『はい…』

『俺が手を握りしめてるから!』



なぁ〜んだ…

お化け屋敷か…

少しガッカリした自分に恥ずかしくなり、ポリポリと頭を掻いた。

でも目の前には、より強者がいる…

「チョット!そこの耳を塞いでる奥さん!?…沙耶チャンって…もう終わったよ」

その言葉に、手を離すと、

「ど、どうだった?もっと過激な事言ってた?」

人の話には敏感だなんて、女のサガだねぇ〜。

「それはそれは、凄かったよ!高校生の私には話せないぐらいに…!!」

沙耶チャンはウブで面白い。
それこそ、高校生の私が言うのもなんだけどねぇ〜。


そろそろ部屋の掃除も終わっただろうし、帰りますかぁ〜。
< 41 / 98 >

この作品をシェア

pagetop