蓮華〜流レルママニ〜


バニラシェイクを急がしそうに飲む未央を見て、口元を緩ませながらも、私は静かに言った。


「ねぇ、未央? 天海先パイ…って覚えてる?」


その言葉に、未央は驚いたような様子で顔を上げた。

「天海先パイって、あのバスケ部の天海先パイ!?」

「そう」

「…そんなの覚えてるも何も…忘れる訳ないじゃん?流奈の初恋の人でしょ?」

何を今さら、というような口調で目を見開く未央は、私の顔を不思議そうに見た。


「だからぁ、初恋じゃないってば!」

「あ〜、ハイハイ、初恋"もどき"ねぇ〜」

ケラケラと馬鹿にしたかのように笑う未央。


落ち込んでる私の気持ちを上げようとしてくれてるのか、
はたまた素なのか…、わかんないけど、

神妙な面もちの私の雰囲気を察してよねぇ〜!! 真面目な話をしようとしてんのにっ…


「ゴメンゴメン。そんな分かり易い顔しなくていいじゃ〜ん!…何か言いたい事、…あるんでしょ?」

そう言って、キリっと真面目な顔を私に差し出す未央。
でも、しっかりとバニラが口の周りに付いてます。


「昨日さぁ、沙耶チャンが事故に遭って、それを聞いた私は、未央の家から天明総合病院に行ったじゃん?」

「うん…」


「…それでさぁ、色々大変だったんだけど…沙耶チャンが包帯グルグルで、翔サンも包帯グルグルで…」

「それ、さっき聞いた」

口元の違和感に気付いた未央はサラリとバニラをナプキンで拭った。そして真面目な顔で、「それから何かあったの?」と視線を投げる。


「昨晩は、凄〜いどしゃ降りでさ、私は傘も差さずに外に出たんだよ」

「流奈…、アナタは話しに脈絡ないし、口下手だから要点だけでいいよ。むしろ、それでお願いします」

ペコリと頭を下げる未央。


ムカッ。未央のヤツ…

まぁ、しょうがない…か。


「あのね、天海先パイに会った…いや、病院の外で…見かけたんだ…」
< 98 / 98 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

ケータイ彼女に恋して

総文字数/83,243

恋愛(その他)164ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
俺、青葉 瞬。 ある日、見つけた 梅山ナツという女性作家に "恋"しました…!! 梅山ナツの事… もっと知りたい! 好奇心の中で生まれる 猜疑心に頭の中はもう ハチャメチャ!! 一途に恋してたいのに、 第2の女の子の登場で、 また… ハチャメチャ…!! 俺…、 どっちが好きなんだろう? 2人とも魅力的な女の子… あぁ、もう… メチャクチャだ… 見えないモノを 見ようとする心 その想いの先にこそ 真なる実はなり 『恋は花咲く』 女心に勝るとも劣らない、恋する男心を綴った 純愛ストーリー。 …恋、始まる…
ハジケロ!!

総文字数/10,748

コメディ21ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
青春は… 爆発だーっっ!! ☆●☆
ミチ

総文字数/3,298

その他13ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
ミチは 未知であり 出逢い、別れ 喜び、悲しみ それら全ての感覚により もたらす感情が 満ちて 道となる †

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop