real world
“遺言状
私たち夫婦の財産は、
夫の姉である藤夏(とうか)に
すべて譲与します。
また、娘・花音は、一切財産に触れてはいけない。”
「…ってことだから、この家壊して、土地を売るわ。」
嘘…。
私、知ってるよ。
本当の遺言書。でも、ないの。
―私たちに何かあったらこの引き出しに遺言書があるからね。―
ごめんなさい。お母さん。
私がパニックを起こして入院期間が延びたから、
もうそこには、無かったの。
盗まれて、きっと燃やされてしまったのかもしれない。
「だから、早く荷物片付けてね。―出て行って。」
そのブランドの鞄、誰のお金で買ったの?
ねぇ、そんなにお金が欲しいの?
―ガチャ!―
「失礼。彩野さん。」
「誰?あなた。」
「友香…。」
どうしてここに?
私を笑いに来たの?
「わたくしは、上杉グループ総帥の長女。まぁ、随分と派手な格好をなさってますね。」
「上杉が…?何の用でしょうか?」
「花音はこちらで預かります。
異議申し立ては、家の執事にどうぞ。
行くぞ。花音。」
呆然と、私は友香に連れて行かれた。
ひとつだけ、はっきり分かっていたのは、
あぁ、今までの世界は幻想で、
これが、現実なんだ。
それだけだった。
なにも、考えたくなかった。
私たち夫婦の財産は、
夫の姉である藤夏(とうか)に
すべて譲与します。
また、娘・花音は、一切財産に触れてはいけない。”
「…ってことだから、この家壊して、土地を売るわ。」
嘘…。
私、知ってるよ。
本当の遺言書。でも、ないの。
―私たちに何かあったらこの引き出しに遺言書があるからね。―
ごめんなさい。お母さん。
私がパニックを起こして入院期間が延びたから、
もうそこには、無かったの。
盗まれて、きっと燃やされてしまったのかもしれない。
「だから、早く荷物片付けてね。―出て行って。」
そのブランドの鞄、誰のお金で買ったの?
ねぇ、そんなにお金が欲しいの?
―ガチャ!―
「失礼。彩野さん。」
「誰?あなた。」
「友香…。」
どうしてここに?
私を笑いに来たの?
「わたくしは、上杉グループ総帥の長女。まぁ、随分と派手な格好をなさってますね。」
「上杉が…?何の用でしょうか?」
「花音はこちらで預かります。
異議申し立ては、家の執事にどうぞ。
行くぞ。花音。」
呆然と、私は友香に連れて行かれた。
ひとつだけ、はっきり分かっていたのは、
あぁ、今までの世界は幻想で、
これが、現実なんだ。
それだけだった。
なにも、考えたくなかった。