突然現れた王子
ケイタに気を遣わせちゃったことが、なんだか申し訳なく思えた。
それと同時に、ケイタの何気ない優しさに、
またときめく。
あたしは顔を洗うと、部屋へと戻った。
クローゼットを開けて、服を選ぶ。
思わず、スカートやワンピースに手を伸ばしている自分がいた。
…今日は、デートじゃないのに。
着飾る必要なんてないはずなのに、
女の子らしい服ばかり選んでしまう。
あたしは、一度選んだ服を全部戻して、選び直した。
どこに行くかは知らされていないから、とりあえず動きやすい服装にした。