突然現れた王子
そして、あたしの唇に自分の唇を重ねた。
触れることはできないけれど、
確かにケイタの温もりを感じた。
最初で最後の、キス。
最高に幸せな。
唇を離すと、
ケイタの体は一気に透け始めた。
ケイタの後ろの光は、まぶしさを増して。
完全に透けてしまったケイタを、包んでいく。
「総合病院」
「え?」
突然、ケイタが呟いた。
「ICU。そこに行って?」
「ケイタ?」
そのまま、ケイタは消えてしまった。