突然現れた王子


お願い、ケイタ。

目を開けて…


あたしはもう一度、ケイタと笑い合いたい。

愛しいその声で『アユ』って呼ばれたい。

ケイタがいないと、あたし生きていけないよ…


あたしはひたすら祈り続けた。


幽霊みたいなケイタに恋をして。

この恋はどうなるのか、なんて、
不安になったこともあった。


けれどケイタはこうして生きていたんだ。

これほど嬉しいことなんてない。


叶わないと思ってた恋が、叶いそうなんだから。


だから、目を開けてほしい。

もうそれしか願わない。




< 168 / 209 >

この作品をシェア

pagetop